top of page
日本共産党

尾張 美也子

国立市議会議員公開質問個別回答

1.公立保育園を民営化することが待機児童解消策になると思いますか? : いいえ

1.理由

待機児解消で大切な視点は、子どもの成長発達を保障することが大前提であり、公立園は、行政が直接子どもの成長発達に責任を持って行える場所です。民営化して、コストを下げて、定数を増やせばよいという安易な考え方(私立保育園ならば、規制緩和で定数を増やすことができる)は、子どもの成長発達を軸にしておらず、国立市のいう「子どもの最善の利益を保証する」という点に対しても反しています。


市の説明を読んでも、民営化事業を数年かけて行うことが今の待機児対策になるとは、読み取れません。待機児解消というのでしたら、民営化でなく、公立はそのまま維持・充実させ、公立の定員を増やすことや新たに私立の認可保育園を誘致することに、行政は力を注ぐべきだと考えます。市は、民営化しないと保育の費用が大きくなり財政負担になると説明していますが、一方では不要不急の国立駅周辺の開発のための大型道路や駐輪場の建替え、複合施設建設などに市債(借金)を増やしてまで行っています。財政が厳しいというならば、そのような税金の使い方から見直し、子供達に負担がかかり、多大な時間と労力を費やす民営化にエネルギーを注ぐのではなく、直接100人超える待機児童のための認可保育園誘致をすべきです。

2.行政による保護者に対するこれまでの説明内容で十分だと思いますか? : いいえ

2.理由

保育園民営化保護者説明会開催の記録を読みました。2回で34名の参加で、時間も1時間15分と1時間40分です。保育園が大きく変わるという子供達にとっても保護者にとっても大変大きな問題であるのに、これだけではとても尽くしたといえません。
また、保育園民営化がもともと財政改革審議会で健全化の一つの方策として出されたものを、そのまま市の方針にしています。この時点で、まず、民営化の是非について保護者や市民との話し合いをしていくべきだが、そこが抜けている点も問題です。
民営化の目的を子供の最善の利益としていますが、民営化することで、どのようなメリットがあるかといった保護者に納得いくような説明もされていません。

3.市長は、9月に行なわれた国立市議会一般質問で、保護者から理解を得られたとおっしゃっていますが、公立四園保護者会連絡会が行なった保護者に対するアンケート結果では、半分の保護者がよくわからないと答えています。このまま民営化を進めていいと思いますか? : いいえ

3.理由

アンケート結果では、賛成がたった2%、どちらかといえば賛成が6%で賛成ととられるものは1割にも満たず、反対、どちらかといえば反対が77%、約8割であることをみると、民営化に対する保護者の理解を得たとは到底考えられず、このまま進めるべきではないと考えます。出された保護者の意見を読むと、今の公立園の意義や保育士の方との信頼関係のなか、子供達を安心して預けていられるのが伝わってきます。民営化により、子供達の環境激変に対する不安なども多く出されており、保護者の声に市は真摯に耳を傾け、市が公立園の意義を子育て支援の拠点として位置付け、保護者の声を抜きに民営化の道を走ることは絶対にやめるべきと考えます。

4.これまでの議論で公立保育園民営化の是非を議会で判断するのに、十分な説明や知識を得られているとお考えですか?足りない部分があるとすればどこでしょうか? : 不足している

4.理由

議会全体で公立園民営化の是非を議論し判断する機会がないまま、市の庁内決定で進められており、その進め方も拙速すぎます。議員としては一般質問や福祉保険委員会での報告の場で個々に意見を申し上げる場しかないわけです。議会での最終判断が民営化園が決まって、設置条例が出される時のみということを課長から聞いて、大変問題だと考えました。市民の財産である公立園を民間に渡すという大変大きな判断をすることに関して、その是非が議論されずに庁内決定のみで進んでいくのは問題です。民営化を庁内決定する前に、民営化の是非について保護者の意見はもちろん、市民の意見を聞くことの一環として市民に委託された議会に是非を諮ることが足りない点だと考えます。
私は、一般質問や委員会で民営化について取り上げてきましたが、コストを安くするために始まった民営化論(財政改革審議会で1園民営化で6900万円の削減)の根拠が実際には公立園の運営費の9割が人件費であり、人件費が別の部署に移るので、机上の空論であり、それに対する説明も不十分でした。また、公立・私立には差がないから民営化するという市の説明も、雑駁すぎて、質の担保という点においても、市は、民間園とも話をしているから大丈夫であるというような説明で、納得いく回答ではありませんでした。

5. 4を踏まえた上で、ご自身は公立保育園を民営化した方が良いと思いますか? : いいえ

5.理由

・市民の財産であり、子供達の成長発達に直接責任を持っている公立園の民営化については、保護者や市民の合意が必要であり、それがないまま、拙速に進めるべきではありません。12月に民営化園を決定することは撤回すべきです。
・国立市にある公立園の数が4園で、特別多いということでもないのに、待機児童が100名を超えている中、今市がやるべきことは、民営化でなく、公立園の充実と認可保育園の誘致にこそ力を尽くしていくべき時です。
・私立保育園も公立保育園もそれぞれに良さがあり、大切な役割を果たしています。しかし、私立保育園の処遇改善をせざる得ないほど、保育士さんの処遇の公私格差があり、保育士不足の現状(資格を持っていても私立園では勤められない状況がある)を考えると、民営化して保育の質を担保できる保障はありません。市がいくら質は落としませんと言っても、私立園に対しては公立のように直接市が指導是正はできません。その点からも民営化は、子どもの最善の利益の保証になりません。

6. 平成27年保育審議会答申の「目的」において、「国立市は、保育の実施主体として、様々ある保育行政の課題に対応し、市全体の保育サービスの質の維持向上を目指すとともに、子育て支援施策の充実に向けた取り組みについても責任をもって推進しなければならない」とありますが、保育サービスを受ける保護者としては、現状、公立と私立のサービスの質に違いがあると感じています。市内の私立及び公立認可保育所に対して平等に責任を果たすためには、保育の実施主体(児童福祉法第24条第1項)である国立市はどのような役割を担うべきだとお考えになりますか?

民営化を進める中で、市は逆に職員体制の充実「くにたち基準」も見直すような発言もあったようですが、そうなると、民間園も含めた保育の質の後退に繋がることになります。市として公立保育園で紡いできた実績や経験、くにたち基準を民間園にも広げていく役割があると考えます。
国の保育園に対する規制緩和により、子供達の保育環境の質が保たれなくなる現状がある今こそ、公立園の意義を市が再認識し、くにたち基準の適用できる公立園を充実して、公立4園が、地域の子育て支援の拠点としていくことこそ国立市の子供達の子育て支援施策の充実に責任を持つことになると考えます。

7. 国立市公立保育園の民営化について、ご意見がありましたらお書きください。

民営化が、保護者・議会不在の中で拙速に進められていることに危機感を感じています。
・保育園のあり方を考える時に一番軸にしなければならないのは、子供達の保育環境です。民営化は、在籍する子供達の環境激変で、子供達への負担の大きさを考えれば、民営化は行うべきではないと考えます。また、民営化を受ける保育士さん、在園の保育士さんの負担も大きく、デメリットの方が大きいと考えます。
・今回の公立園の民営化は、財政改革審議会での健全化の項目として出したことを受けて庁内決定したものです。財政改革審議では私立も公立も同じだからコストがかからない民営化にした方がよいという簡単な議論で決めています。この点に大きな問題があると考えます。財政改革審議会での健全化項目は福祉分野がほとんどで、市債を膨らます国立駅周辺のまちづくりなどの事業は市長政策なのでと聖域化し、手を付けていません。財政が厳しいということならば、不要不急な土木事業・建設事業などを見直すべきだと考えます。
・公立園の方がコストが高いというのは、国の三位一体の改革で公立園の国庫補助が一般財源化されて、見えなくなった影響があるわけです。民間園の補助も今後不透明な中で、子育て支援の拠点にしていくべき公立園を安易に民営化すべきではありません。
・民営化した公立園の保育士さんを、発達しょうがい児への対応や児童虐待への対応などに回すとしていますが、しょうがい児教育の専門家、社会福祉士、臨床心理士などそれぞれの専門家をきちんと配置することが大切だと思います。保育士さんは乳幼児の保育の専門家です。保育園も含めた子育て支援など福祉分野はそこに関わる『人材』をいかに適切に配置するかが大切なことです。民営化して余った人材を、他の部署に回すことで人件費を浮かすことができるという考え方は安易すぎると考えます。
・民営化をすべきでないと考えますが、決して私立園を否定しているわけではありません。公立園の果たす役割を縮小すべきでないという観点です。今は待機児童が多くて保育園の増設が一番の課題ですが、将来的に子どもの数が減ってきたときにも臨機応変に対応できるのも公立園だからこそです。民間園では経営が成り立たなくなって突然廃園になって問題になった園もあります。そのような心配がいらない公立園を今後も存続していくことは大切と考えます。

bottom of page